とらドラ!の話/竜児の空、空、空回り

座談会絡みでもう一ネタ。
あの時の僕は9〜10巻にかけての、親のエゴの話と金の話に物凄い勢いで食い付いてて、その辺の問題が親・親の親との和解で意外にあっさり、まるで悠仁親王の誕生で立ち消えた女帝論議のように、大きく聳えてた問題が それを乗り越える前に消えてしまったことをあんまり好ましく思ってなかったわけですね。で、それに対して「それは竜児が勝手に事態をを深刻に捉えて空回りしてるだけ。お前はデコイに引っかかった」と指摘されたわけですが、ホントそれ以外の何物でもありませんでしたね。相当頭が熱くなっていたんでしょう。
泰子のエゴなんて全然大したことないわけで、もっとやべえ親はいくらでもいる*1。泰子のエゴが大したことない以上、もはやネックは高須家の経済的要因のみなのだから、竜児は奨学金とか学費免除とかの救済措置をモリモリ活用すべく頑張る道に行きゃいいのに*2、「そういうのはもっとその気のある、強い意欲のある奴に回してやってください」とかいう謎の理屈を持ち出してそれを拒絶する、もうホームラン級のバカですよ。んでもって泰子にあんな罵声を浴びせて逃げちゃうとか、もう見てらんない。
しかしここからが凄いところで、その後は泰子も竜児を置いてエスケープするという、これまた相当やってはいけない行為に及んでしまうんだけど、両者のこのNGがあったからこそ清児・園子まで含めた和解に至ってるんですよね。竜児が冷静に奨学金ルートに行っていたらこうはならなかったはずで、これは正に怪我の大功名というか、類まれなる結果オーライという他ない。ホントうまいこと出来ているもんです。そういうふうになっている。
ちなみに他のありそうなルートを想定してみると、竜児はアレしちゃうけど泰子は逃げないパターンは、逃避行ルートが確定しちゃって、当初の僕好みの話ではあるけれど「とらドラ!」の構造上はちょっと残念なことになる感じでしょうか。この仮想ルートに関してはもうちょっと考えてみると面白いかもしれない。竜児が奨学金を取らず、最初から学費目的で打算的に清児との和解を画策するルートは……まぁありえないですね。竜児が思いつくはずもない。
なんか昨日からこんなことばかり書いてますが、別に竜児嫌いじゃないですよ。川嶋亜美的に「バカだから嫌い」とは当然感じるけれども、ヌルパートから大河を支えてきた振る舞いはそれを差し引いても偉いと思いますんで。


と思ったけど、竜児の亜美に対する発言とかに想いを寄せるとやっぱり嫌いになるかも。この辺は亜美に焦点を合わせながら7巻以降を再読してから考え直した方がよさそうだ。

*1:ウィリアムが相当やばかった記憶があるので早くSONS読み返したい

*2:泰子の「奨学金がでるような大学は竜児が学ぶに値しない」説は端的に間違い。独身交えて3者面談でもしたら良かったんじゃないでしょうか