とらドラ!の話/竜児が大河ルートへと至るまで

先日行った新横浜とらドラ!座談会の録音データを通勤中に聴いたり。3巻過小評価してましたね。3巻マジ重要。
みのりん原理主義者であるところの河村が「竜児がいきなり大河を好きになってUNKO」という話をしていたけれども、僕の考えはちょっと違って、竜児が大河ルートに突入するのはかなり支配的な流れだと思ってる。でも、その流れが支配的であることで、竜児がかなり楽をしちゃってる気はするんですよね。
単純に言ってしまえば竜児は二人の女を同時に好きになっているわけで、一方と出来上がってしまえば他方は失ってしまう*1。そうである以上、普通は田村くんのように、どっちのルートに進めばいいんだという葛藤にぶち当たるはずなんですが、そこがプロットの妙というか、作品世界での偶然が色々と噛みあっちゃうことによって巧妙に回避されているわけです。スキーの際にみのりんが展開する「何事もなかったワールド」*2は、込めた想いに気付かれぬまま装着されたヘアピンの威力も加わって竜児に相当のダメージを与えたし、よりにもよってその直後に大河が事故→「絶対に離してはいけなかったのだ」のコンボ、さらに追い討ちとなる大河の告白を図らずも聞いてしまうことで、こりゃもう即死ですよ。大河ルートに行くしかない*3
つまり大河が竜児ルートに転換したやり方と比べて、竜児の大河ルートへの切り替えは、ここまできたらそうするしかないんだけど、そこに至ったのは偶然の要素がかなり噛み合っちゃったからだと見えるわけです。まぁでも竜児がホントにフラットな状況で二択を迫られた時に、大河をスパッと選べる気概が彼にあるかは怪しいと思ってますので、世界が「そういうふうになっている」以上は、その偶然すらもより大きな必然の内にあるんだなぁといまは感じています。

*1:河村の夢想する「みのりんとは恋愛、大河とは家族、それでいいじゃん!! テーマは家族!!」という終着は、川嶋亜美的に断固拒否する

*2:これもクリスマスの際に大河の咆哮をみのりんが聴いちゃったことが背景にあるわけですが

*3:読んでる自分としても、みのりんの真意はあんまり記述されてないけど、大河の竜児への想いは7巻ラストで相当仕上がった形で書かれているので、竜児&大河ルートに物語が進行することが気持ちいい